東京上映記念『トータスの旅』永山正史監督 × 『空(カラ)の味』塚田万理奈監督 特別対談

投稿日:2017年06月30日

第27回 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にてオフシアター・コンペティション部門グランプリに輝いた『トータスの旅』 
第10回田辺・弁慶映画祭にてグランプリを含む4冠に輝いた『空(カラ)の味』
これら二作品の上映を記念しまして、永山正史監督(『トータスの旅』)と塚田万理奈監督(『空(カラ)の味』)が対談を企画してくれました。

映画『トータスの旅』

新宿・ケイズシネマにて上映 2017/07/01(土)~07/14(金)

次郎は妻を失ってから、ペットの亀に固執するようになる。
息子の登はそんな次郎を拒絶し、すべてを憎むように生きていた。
ある日、兄の新太郎が恋人を引き連れて突然姿を現す。次郎が結婚式を挙げた島で、これから自分たちも式を挙げるからついてこい、という新太郎。
無軌道すぎる新太郎、反抗期の息子、コントロール不能の亀と共に進む旅は、道を外れて秩序を失っていく。
そして、妻の死に起因する旅のもう一つの目的が徐々に明らかになっていく。

映画のモチーフとなったのは小説家、中島らも。
長編初主演となる木村知貴に宿る中島らもは、無様に道から外れること、正気じゃいられないことを全身で肯定する。

第10回 田辺・弁慶映画祭 男優賞(木村知貴)
第18回 TAMA NEW WAVE ベスト男優賞(木村知貴)
第27回 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 
    オフシアター・コンペティション部門グランプリ
第21回プチョン国際ファンタスティック映画祭(7月開催)
第3回湖畔の映画祭(8月開催)

【キャスト】木村知貴 / 諏訪瑞樹 / 川瀬陽太 / 湯舟すぴか / 竹中友紀子 / 柳谷一成 / 大宮将司 / たくしまけい / 近藤善樹 / 小田篤 / 上山学 / 田中一平 / 竹下かおり / 岡本裕輝 / 満利江 / 山口陽二郎
【制作スタッフ】監督・脚本・編集:永山正史 / 製作:武田祥  / 共同脚本:鈴木由理子 / 音楽:石川江里也  / 助監督:吉田雅一 藤井謙 / 撮影:神野誉晃 / 照明:建部孝一 / 録音:山田晋 / DIT:森脇由二 

映画館・上映の詳細

映画『空(カラ)の味』

渋谷・アップリンクにて上映 2017/07/01(土)~07/14(金)


ぴあフィルムフェスティバル、田辺・弁慶映画祭、うえだ城下町映画祭など多くの映画祭で受賞・高評価を得た「還るばしょ」の新鋭・塚田万理奈監督による渾身の初長編作品が完成した。
主演の聡子役を演じるのは、『ガンバレとかうるせぇ』『ぼくらのさいご』等で躍進を続ける、インディーズ映画界の若きミューズ・堀春菜。さらに増した煌めきと、これまでにない深みのある演技を披露する。
聡子に重要な影響を与えるマキ役には、自身のプロデュースする演劇ユニット・BELGANALで意欲的に活動する林田沙希絵。危うさと存在感のある壊れかけた女性を演じ、強い印象を残す。
聡子を見守る家族を人間味豊かに演じるのは、南久松真奈(「家族ごっこ」)、松井薫平(「下衆の愛」)、井上智之(「まあだだよ」)ら、経験豊かな3人。福岡インディペンデント映画祭2016の俳優賞を受賞した笠松七海、柴田瑠歌らフレッシュな新人たちが聡子と同級生たちとの複雑な関係性を自然体で演じる。他にイワゴウサトシ(『シン・ゴジラ』)、松本恭子らが脇を固める。
新進の若手から実力派のベテランまで揃ったバリエーション豊かな俳優陣のアンサンブルと、感情の襞を細やかに描く塚田監督の手腕によって、観客はたゆたう時間の中で1人の少女の心の旅へと誘われる。

【キャスト】堀春菜 / 松井薫平 / 南久松真奈 / 井上智之 / イワゴウサトシ / 柴田瑠歌 / 松本恭子 / 笠松七海 / 林田沙希絵
【制作スタッフ】監督・脚本:塚田万理奈 / 撮影:芳賀俊 / 撮影助手:五十嵐一人 / 照明:沼田真隆 / 録音:落合諒磨 加藤誠 坂口光汰 清水由紀子 / カラコレ:関谷壮史 芳賀俊 / MA:落合諒磨 / 助監督:鈴木祥 / 張り子制作:前田ビバリー



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特別対談『トータスの旅』永山正史監督 × 『空(カラ)の味』塚田万理奈監督

永山正史(監督)
1983年、神奈川県生まれ。
撮影助手としてキャリアをスタートし、現在はCMやVP等のディレクター、カメラマンとして活動中。
2012年、初監督作品「飛び火」が第34回ぴあフィルムフェスティバルに入選。「トータスの旅」は初長編監督作品。

塚田万理奈(監督)
1991年長野県長野市出身。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。卒業制作『還るばしょ』が、第36回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)入選、第8回田辺・弁慶映画祭文化通信社賞受賞、第12回うえだ城下町映画祭自主制作映画コンテスト審査委員賞受賞、第9回福井映画祭入選。
初の長編映画となった『空(カラ)の味』が第10回田辺・弁慶映画祭で弁慶グランプリ・女優賞・市民賞・映検審査員賞の4冠に輝いた。

各映画祭に参加した感想

PFFについて

永山:共通して参加経験のある映画祭はPFFと田辺・弁慶です。
塚田:PFFはやっぱり一番ちゃんとしているというか、丁寧で安心感がありますよね。
永山:映画祭に参加すると、いつまでに何を準備して、会期中もいつどこに行けばいいのか、上映は大丈夫なのか等、不安に感じることが結構あるんですが、PFFはなかったです。
塚田:あとは「自主映画でもしっかり権利を主張しなさい、お金を取りなさい」と味方になって、作り手がなめられないような道を教えてくれるのが良かったです。作品に対するリスペクトも凄い。
永山:それは感じました。ぴあはちゃんと熱を持って見てくれていますね。全応募作品しっかり見てくれている。2次審査までの入選作品を決める方法は嘘じゃないと思います。だからこそ、本審査にもゲストの審査員だけじゃなくて、映画祭の意志が反映されても良いのに、と思いました。

田辺・弁慶映画祭について

永山:インパクトありましたね。おじさんがいっぱい。
塚田:構ってくる。
永山:一晩中(笑)
塚田:もちろん良い意味で、構ってくれるんです。映画祭が終わった後にもこんなに気にかけてくださるなんて他にないです。
永山:受賞するとテアトル新宿とシネ・リーブル梅田で映画を上映してもらえるんですが、その時の上映にも来てくれるお客さんがけっこういました。お客さんの熱量が凄く高い映画祭でした。
塚田:地方の映画祭だと地域活性がメインになることも多いんですが、田辺はまず、映画が好き、というところがちゃんとあります。
永山:あとテアトル新宿での上映経験はやはりとても大きいです。あの大きな劇場を埋めなきゃ、という睡眠不足の日々の経験は貴重でした。

映画祭への要望

塚田:まずは映画を愛してほしいです。映画を地域活性のダシにしないでほしいというか。映画祭を大きくすることばかり考えないでほしいというか。
永山:ひどいところだと、いつの間にか上映されてて審査されてて、しかもその審査方法が入退場自由なんていうところもあります。
塚田:福井映画祭は小さな映画祭ですけど、作品に対する愛情が強くて、スタッフたちが目の前で作品の議論をするんです。この映画はここが素晴らしいんだってことを、映画祭の外でスタッフが熱弁していて。お客さんは少ないけど、それでも映画が好きでやってるという意地とプライドを感じました。
永山:規模が小さいとスタッフやお客さんと接する距離が近くなって、そこが魅力にもなるかもしれません。
塚田:うえだ城下町映画祭もそういうところがあります。近所のお母さんの炊き出しを楽しみにみんな集まるような。
永山:そういう場に映画があるのが良いですね。地元の高校生の暇つぶしでもいい、っていう。
塚田:TAMA NEW WAVEはどうでしたか?
永山:面白いなと思ったのは審査方法です。グランプリを決めるのは、予備審査をした映画祭のスタッフと、観客席にいる一般審査員による投票。他の映画祭は大抵、雇われた知名度のある方が本審査員なんですが、TAMAは違いました。運営側の主張をしっかり見せてくれます。ただ、トークバトルという悪趣味なイベントはやめた方がいいと思いました(笑)
塚田:私も経験あります、トークバトル。なんでバトルしなきゃいけないんでしょう。
永山:ゲスト審査員に作品を突っ込む役割を与えて、それに反論しろって映画祭の人に言われるんですが、反論するにはどうしても作品内でやったことの意図を説明しないと難しい。それってお客さんの前でやるのはとても恥ずかしいことです。
塚田:ゆうばりは楽しそうで良いな、と思ってるんですが。
永山:楽しいですが大変でした。田辺もそうですが、夜まで映画を見て朝までお酒を飲んで、の繰り返しが4日間続く。宿も大部屋で、コミュニケーション千本ノックみたいな映画祭です。
塚田:田辺以上ですね(笑)
永山:エンターテイメントをうたう映画祭だけあって、お客さんも映画祭を楽しむために来てる感じが良かったです。みんな楽しそうでした。
塚田:要望といえば、上映チェックをちゃんとやらせてほしいです。
永山:上映チェックは本当に大事ですよね。
塚田:あとはご飯がおいしいと嬉しい。
永山:あと幽霊の出る合宿所じゃなくてホテルに泊まらせてほしい(笑)
塚田:名前の漢字を間違えないでほしい。
永山:僕らはいつも言われるばっかりの立場なので、たまには言う側もやりたい。
塚田:(笑)

キャスティングについて

永山:「トータスの旅」も前作の「飛び火」でも、半数近くのキャストはシネマプランナーズを通して探しました。3桁の応募が来るので、次に撮るゆうばり映画祭の支援作でも利用する予定です。
塚田:私は既に知っている人とか、見た映画で良いな、と思った人とかに声をかけます。オーディションはしたことがないです。それだけ応募があると大変そうですね。
永山:一人一人に連絡を取るのも自分でやっているので大変です。メールをさばくだけで時間がかかります。
塚田:その中からどういう基準で選ぶんですか?
永山:募集をかける時はどんな映画なのか、拘束期間と出演料はいくらか、自分は何者か、スタッフは何者かを書いて気をつけているつもりですが、応募してくださる方で、中にはよく分からないメールも来ます。「出演希望 タナカ」
の一文だけとか。
塚田:不安になりますね。
永山:まず最初の段階では役柄とかお芝居より前に、ちゃんと連絡が取れて、最後まで現場に来てくれそうか、というところも大事かなと思います。
塚田さんはどういう役者さんが好きですか?
塚田:元々役者だったような感じの人じゃなくて、元々人間だったんだと思うような人です。
永山:役柄より人柄が見える感じですかね。
塚田:なんていうか、生まれた時から役者なんじゃないかっていう人もいるじゃないですか。それは苦手で。
永山:なんとなく分かります。役者にしか見えない感じ。
塚田:役者としてお芝居に悩むというよりも、それ以前の人間として悩んでいるようなにおい。うまく言えませんが、人間臭くて、ちょっと面倒くさいくらいの人を好きになります。「トータスの旅」のすぴかさんにもそれを感じます。
永山:たしかに「空(カラ)の味」を見ると人間臭い感じは伝わります。南久松さんなんて本当に臭いがありました、お母さんの。
塚田:実際にお子さんはいないんですけどね。
永山:本当に凄いと思います。役者にしか見えない感じが苦手っていうのは、「トータスの旅」では中学生の息子役オーディションで感じました。子役事務所でオーディションをやって頂いたんですが、達者な子はたくさんいるんですよ。既に業界人みたいな子役。でも設定と同じ年齢の子を使うんであれば、それは違うかなと。上手じゃなくても、その子らしさが出ちゃう感じが良かった。
塚田:出ちゃってましたね(笑)
永山:当時はヒーローものが好きで、体の動きをやたらキメてくるんです。それがその子らしさで、すごくかわいい。今は茶髪の高校生で、自転車をチョッパータイプにカスタムして乗ってます(笑)

次回作の構想、予定

塚田:「空(カラ)の味」を流させていただく中で、古い友人と再会したりしました。
過去から現在まで、自分がずっと思い続けてきたことと、友人は友人で思い続けて生きてきたことを知る中で、感じたことがありました。長い話で長い作品になってしまいそうなのですが、何年かかってもそれが撮りたいので、撮りたいです。

永山:田舎で生活する仲良しのおじさん3人組のところに、都会からナチュラルライフに憧れるマクロビ家族が引っ越してきて、おじさんたちの生活をかき乱していく話。「逆・悪魔のいけにえ」です。11月撮影を目標に進めています。

どんな人に映画を見てほしいか

塚田:「空(カラ)の味」は、摂食障害になってしまう主人公の話ですが、私は摂食障害の話を撮りたかったわけではありません。私が実際に摂食障害だった時、病気だろうが、おかしかろうが、不正解だろうが、間違っていようが、ダメだろうが、それを「不安だ」とか「頑張ろう」とか”何かを思っている”、”心”があるから、それを聞いて欲しい、し、聞いていよう、と思いました。だから今日がダメでも、大丈夫じゃなくても、何もなくても、アリだよ。と私は言いたい、と思ってこれを撮りました。それは誰にでも言えることだと思っているので、なるべく言えるなら言いたいです。

永山:克服できない問題を抱える父親と、学校に居場所がない息子の旅を描いています。僕自身、学校はずっと地獄でした。小説や映画や音楽と生きてきました。高校は中退しました。でも今は全然問題なく、家族と生きています。いや、やっぱり問題だらけですが、中退とは関係ないです。学校行けなくなっても大丈夫です。

映画『トータスの旅』
新宿・ケイズシネマにて上映 2017/07/01(土)~07/14(金)

監督:永山正史
作品分数:81分
当日料金:一般・大・高:1,500円/シニア:1,000円
映画館・詳細

映画『空(カラ)の味』
渋谷・アップリンクにて上映 2017/07/01(土)~07/14(金)

監督:塚田万理奈
作品分数:125分
当日料金:一般¥1,800 / 学生¥1,500(平日学割¥1,100) / 高校生以下¥800 / シニア¥1,100 / UPLINK会員¥1,000
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