卒業制作の役者急募
東京藝術大学先端芸術表現科4年の冨樫達彦と申します。
来年1月末の卒業制作展へ向けて、中編映画の制作を計画しています。
そのために役者、男女各一名を募集します。
[内容]
古井由吉の小説『杳子』を原案にすることを考えています。
主人公の杳子は、それと名指すことの出来ない奇妙な病を抱えています。あるときには、それはたとえば「高所恐怖症」として現れます。
小説の冒頭、杳子はK岳に登山した帰り、谷底の河原にしゃがみ込み、独り動けなくなってしまいます。そこを偶然通りがかった「彼」(「S」)に助けられますが、その「彼」に、後日彼女は次のように語ります。
「病気だったのです」
「何の病気ですか」
「高所恐怖症」
「高所恐怖症って、そんな病気の人が、なんで山なんかに登ったのです」
「気がつかなかったのです」
「谷底まで降りてきて、そこでようやく・・・」
続けて、「頂上で何ともなくて、谷底に降りてきてから高所恐怖症にかかるというのは、どういうことなのだろう」と尋ねる彼に対して、杳子はこう答えます。
「谷底って、高さの感じが集まるところではないかしら。高さの感じがひとつひとつの岩の中にまでこもっていて、入ってくる人間に敵意をもっているみたいな・・・」
(以上、『杳子・妻隠』古井由吉/新潮文庫/p33,34より)
今回の映画では、杳子の「病」、とりわけ「高所恐怖症」を、東京という都市そのものの病として再解釈することを試みます。具体的には、主に小説の冒頭のシーンを、山(谷底)ではなく、江戸城の遺構ないし江戸城築城にまつわる場所を舞台として再演することを試みます。
従って正確には、小説『杳子』の映画化ではなく、東京という都市、あるいはより端的に、江戸城の映画化です。そのための素材として、『杳子』というテクストを採用します。
[募集内容]
「杳子」役の女性1名、「彼」役の男性1名を募集します。
通常の劇映画の撮影というよりは、毎回、僕が設定する場所、テーマ、テクスト等の条件のなかで、エチュードを繰り返しながら1シーンをつくっていくような撮影を予定しています。従って、役の内面を演じるというよりは、WSに参加するようなかたちをイメージして頂いたほうがよいと思います。経験は、問いません。
基本的に金銭的なお礼は出来ませんが、撮影に伴う交通費、食費等は負担いたします。
こちらのスケジュールの問題で、むこう1ヶ月、比較的スケジュールに余裕のある方を優先して募集いたします。ご興味ある方は、下記のメールアドレスまでご連絡下さい。その際、お名前、年齢、ご自宅の最寄り駅等を記載して下さい。加えて、顔写真と全身が写った写真、それぞれ一枚ずつ添付して頂けると助かります。
内容、詳細等の問い合わせでも構いませんので、少しでも興味をもたれた方は連絡頂ければ嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
冨樫達彦
tatsu.togashi@gmail.com
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