「従順さのどこがいけないのか」を考え、従順でありすぎる自分たちを反省し、不正を見逃すことなく、社会をより良く変えて行こうと立ち上がる、そんな私たちとなるためにはどうすればいいのかを問う物語を作る講座
【講座内容】
日本人は「従順であること」を「良いこと」と考えている気がします。
国のことは政治家や政府に任せて「シモジモの者は黙って従うべきだ」とシモジモの者さえ思っているかもしれません。
選挙に行っても仕方がない、そう思って諦めている。必ずしも今の政治を歓迎していないのに、政府や政権のことを「従順」に受け入れてしまっている。そんな人が多い気がします。
しかし、世界を見れば、人種問題、宗教問題、環境問題、教育問題、経済問題…なにかあると人々は声を上げ、異議を唱え、デモをし、行動し、国を動かします。日本人のように、政府の言うことに「従順であろうする人々」は探すことさえ難しいんじゃないでしょうか。
「従順である国民をもつ国」と「問題あればすぐに異議を唱える国民をもつ国」どっちが望ましいでしょうか?
もしも「誰よりも正しいことを、誰よりも迅速に行う」、そんな政府があるのであれば、国民は「従順」であってもいいのかもしれません。しかし「誰よりも正しいことを、誰よりも迅速に行う」そんな政府を我々はこれまでに持ったことがあるでしょうか?そんな「ありもしない理想的な政府」を待ち望んで「従順」であるよりも「どんなに素晴らしい政府であっても失敗する可能性がある」という前提にたち、国民が緊張感をもって政府の監視を続け、ひとたび問題行動あれば立ち上がり、問題を正していく・・・そういう関係であるほうが、政府側も緊張感をもって政策を行うだろうし、国民側も常に監視し学び続けて行く必要も感じるでしょうし、今よりも選挙において良い政治家を選ぼうとするだろうし、結果日本はより良い国になっていく気がします。
本講座では、これまで作られた映画において、上に述べたような「従順さの問題」がどのように描かれてきたのかを見ます。そして、これから我々はどのような政治的態度を獲得すべきなのか、獲得するためにはどうすればいいのか、というようなことをニュージーランドのオタゴ大学の将基面貴巳教授とともに考えていこうと思っています。
最終的には、それぞれが思う「従順さからの脱却」をテーマにしたシバイ(映画や演劇やドラマなど)をつくり、世に問い、少しづつでも、世の中を良くしていく、実際に世界を変えていく、ことを目指せればいいなと思っています。
【どのような人向けの講座か】
・現状を変えようとしない日本人にイラ立っている人
・世界をもっともっと素敵にしたいと思っている人
・人間がなぜ従順さを求めるのかを探っていきたい人
・これまでの人たちたより良い社会をつくるためにどのような戦いをしてきたのかを知りたい人
・そういった人々のことが映画でどのように描かれてきたのかを知りたい人
・いま世の中で行われている悲しいことを減らしていきたい人
・もっともっとたくさんの人たちに危機感を持ってもらいたいと思っている人
・そのために、すぐれた作品を生み出さねばと使命感を持っている人
・シバイバで学び、意義ある作品を作り、世界と未来により良い影響を及ぼしたいと考えている人
【参加の条件】
・本講座は日本語で行われます。日本語を聞き取り、日本語を話し、日本語でコミュニケーションをとる能力を持っていること。
・経験や年齢、性別、国籍は問いません。
・参加希望者が未成年であった場合、保護者の了承が必要です。
・暴力団員、暴力団準構成員、これらと密接な関係を有する者、その他の反社会的勢力でないこと。
・今回最終的に作品の企画を提出し、短編シナリオを書いてもらうことになりますが、企画書やシナリオ執筆の経験や企画書やシナリオの書き方を知っている必要はありません。
・本講座では毎回事前に提示されたテキストと補足資料を読み、事前に提示されている映画を視聴したうえでクラスへの参加をしてもらいます。十分余裕をもってテキストを購入していただくと共に、スケジュールにおいて指定されている映画を、ご自分なりの方法で視聴しておいてください。また、参加にあたっては、ご自分が、こちらの指定している映画を、配信サービスで視聴可能か、あるいは映画館での視聴やDVD等を入手しての視聴ができるかをご自分で確認しておいてください。
【講師からのメッセージ】
シバイバは「世界を少しでも良い場所にするため」の映画や演劇、ドラマを構想する「場」として誕生しました。人間にとって普遍的な問題について深めた思考を、映画や演劇に固有の表現へと効果的に結びつけるとき、その作品は、時代や言語、文化を超えて、世界の人々の胸を打つのでしょう。シバイバで学ぶ映画人や演劇人の方々が、日本だけでなく世界の人々をインスパイアする作品を生み出されることを期待します。
私の講座では、理不尽さに直面しても「しかたがない」と諦めがちな日本人の「従順さ」を問い直したいと思います。特に、不正権力に対する抵抗を中心として政治と向き合う態度がどうあるべきかを考えることを目的としています。そのために、本講座では、政治思想的な諸問題を、欧米や日本の映画がどのような具体的な状況として表現したかを参加者の方々と一緒に考察したいと考えています。理不尽な現実にも挫けない人々の物語を新たに紡ぎ出してゆくことで人々を勇気づけられれば、日本と「世界を少しでも良い場所にする」ことに寄与できるのではないでしょうか。
将基面貴巳
【講師情報】
将基面貴巳(オタゴ大学教授)
〇略歴
西洋史学者、ニュージーランド・オタゴ大学教授
神奈川県横浜市生まれ。1986年駒場東邦高等学校卒業。1991年慶応義塾大学法学部政治学科卒業。1998年シェフィールド大学大学院歴史学博士課程修了。ケンブリッジ大学クレア・ホール・リサーチフェロー、イギリス学士院中世テキスト編集委員会専属研究員、ヘルシンキ大学歴史学科客員教授、ニュージーランド・オタゴ大学人文学部専任講師、准教授を経て、教授。
2013年、『ヨーロッパ政治思想の誕生』でサントリー学芸賞受賞。
〇作品,著書歴
『愛国の起源 パトリオティズムはなぜ保守思想となったのか』ちくま新書、2022年
『従順さのどこがいけないのか』ちくまプリマー新書、2021年
『日本国民のための愛国の教科書』百万年書房、2019年
『愛国の構造』岩波書店、2019年
『言論抑圧 矢内原事件の構図』 中公新書、2014年
『ヨーロッパ政治思想の誕生』 名古屋大学出版会、2013
『Ockham and political discourse in the late Middle Ages』 ケンブリッジ大学出版局、2007年
『政治診断学への招待』 講談社選書メチエ、2006
『反「暴君」の思想史』 平凡社新書、2002
【講座スケジュール】
第1回 2月17日(土) 10:00~12:00 theme:不正への抵抗
movie:「上意討ち 拝領妻始末」小林正樹監督
(上記映画はprime-videoで視聴可能です)
text:「従順さのどこがいけないのか」第1章、第5章
第2回 3月2日(土) 10:00~12:00 theme:忠誠心をめぐるジレンマ
movie:「影の軍隊」ジャン=ピエール・メルヴィル監督
(上記映画はprime-video、U-nextで視聴可能です)
text:「従順さのどこがいけないのか」第2章
第3回 3月16日(土) 10:00~12:00 theme:理不尽さに立ち向かう女性たち
movie:「未来を花束にして」サラ・ガブロン監督
(上記映画はprime-video、U-nextで視聴可能です)
text:「従順さのどこがいけないのか」第5章・第6章
第4回 3月30日(土) 10:00~12:00 theme:非政治的な主体の政治
movie:「清作の妻」増村保造監督
( 上記映画はprime-video、U-nextで視聴可能です )
text:「従順さのどこがいけないのか」第4章
(企画書提出) 4月4日(木) – これまでの読解とディスカッションを踏まえて参加者各自にシバイの企画を提出していただきます。
第5回 4月13日(土) 10:00~12:00 theme:第三者の視点
movie:「十二人の怒れる男」シドニー・ルメット監督
(上記映画はprime-videoで視聴可能です)
text:「従順さのどこがいけないのか」第3章
第6回 4月27日(土) 10:00~12:00 theme:信条倫理と責任倫理
movie:「ミッション」ローランド・ジョフィ監督
(上記映画はprime-video、U-nextで視聴可能です)
text:「反「暴君」の思想史」第5章
(シナリオ提出) 5月6日(月) – シナリオの初稿を提出していただきます。
第7回 5月11日(土) 10:00~12:00 theme:崩壊する社会
movie:「真実の瞬間」アーウィン・ウィンクラー監督
(上記映画はhulu、U-nextで視聴可能です)
text1:「従順さのどこがいけないのか」第4章
text2:「反「暴君」の思想史」第5章
(シナリオ直し提出) 5月25日(土) – 講師や参加者とのディスカッションを経て、シナリオを修正し、第2稿を提出していただきます。
(作品発表会) 6月25日から6月30日まで – 優秀シナリオを演劇として上演し、その内容を世に問うイベントを行います。
第8回 7月6日(土) 10:00~12:00 みなさんの最終作品についての講評およびこれからの課題についての討議
【使用テキスト】
・将基面貴巳著『従順さのどこがいけないのか』ちくまプリマー新書(2021年)
・将基面貴巳『反「暴君」の思想史』平凡社新書(2002年)<電子書籍版>
※各自、初日までに、Amazonなどで入手しておいてください。
【参加形態】
〇MEMBER:¥44,000-
・全8回の講座をオンラインにて受講していただきます。(講師である将基面貴巳教授はニュージーランドにおられるのですべてオンラインによる講座となります)
・講座スケジュールにもありますように、毎回、将基面教授の指定された映画やテキストについて、事前に視聴および読了したうえで、それぞれのアイディアをもってクラスに参加してください。
・また、この間、参加者の皆様には、最終的にどのような物語を書きたいかをぼんやりと、そしてだんだん具体的に煮詰めて行ってください。まず、4月4日に企画書を提出していただきます。
・企画書の書き方やシナリオの書き方は知らなくて大丈夫です。
・最終的には短編シナリオを完成してもらいます。そして、それを事務局の指定した演出家か、あるいはご自身で演出していただき、短編演劇として6/25から6/30までの6日間、他の講座や他の参加者の作った作品とともに、築地本願寺ブディストホールにて披露してもらいます。この披露会では、作品の内容にちなんだ著名ゲストをお呼びし、観客投票により最優秀作品を1つ選びます。賞金は50万円です。
・最終的に作品を提出するのは義務ではありません。ありませんが、〆切がないと人間はなかなか作品を仕上げないもの。〆切を利用して自らを追い込み、本講座での学習の成果をさっそく作品にしてみてください。
・短編演劇祭をやって終わりではありません。むしろ、〆切を利用して出来上がった短編シナリオは、これから開発する新しい映画やドラマなどの火種となるものです。最優秀作品賞を受賞した作品はもちろん、それ以外の上演作品、また上演には至らなかった作品なども、講座終了後も、事務局および講師は、映画化やドラマ化、あるいは小説化や漫画化やゲーム化に向けて、企画開発および営業の手助けを継続的にさせていただきます。
・受講に先立って全8回分の受講料(5,500円×8回=44,000円<税込>)を一括でお支払いいただく、または分割にてお支払いいただきます。
分割でのお支払いの場合、その月の講座回数によってお支払い額が変動しますが、1回分の受講料は5,500円<税込>となります。詳しくは、【受講料とお支払い方法】をご確認ください。
・テキストは事前にご自分で購入しておいてください。
・MEMBERの定員は30名とさせていただきます。
・申し込み締め切りは、2月16日18:00です。ただし、定員になり次第打ち切ります。
〇OBSERVER:¥26,400-
・全8回の講座をオンラインにて受講しいただきます。
・講座スケジュールにもありますように、毎回、将基面教授の指定された映画やテキストについて、事前に視聴および読了したうえでクラスに参加してください。
・OBSERVERは講師とMEMBERのやりとりを聴講していただけます。
・聴講をすることによって知り得たアイディアをご自分の作品(プロデュース作品、演出作品、執筆作品、企画作品など全て)について利用する場合は、必ず、シバイバ事務局を通して、講師とMEMBERとして受講している者たちに承諾を得ることを了承していただきます。申し込みを行った時点で、このことを了承しているとみなします。
・質問がある場合は事務局にメールしてください。
・受講に先立って全8回分の受講料(3,300円×8回=26,400円<税込>)を一括でお支払いいただく、または分割にてお支払いいただきます。
分割でのお支払いの場合、その月の講座回数によってお支払い額が変動しますが、1回分の受講料は3,300円<税込>となります。詳しくは、【受講料とお支払い方法】をご確認ください。
・OBSERVERの定員はございません。
・申し込み締め切りは、2月16日18:00です。
【お申込み方法】
https://shibaiba.com/archives/392
上記URLよりお申込みください
※締め切り2024年2月16日18:00まで
【ハラスメント防止対策ポリシー】
・あらゆる人間の人権を擁護する立場につくこと。
・どのような人も、ハラスメントをする側にも、される側にもなる可能性があります。自分の行動や言動が相手に不快な思いをさせる可能性があります。そのことを承知し、自らの行動や言動が他人を不快にさせていないかに関して注意深くあること。
・他人を自分と同じひとりの人間と認め、その個性とアイディアを尊重すること。
・他人のアイディアを盗まないこと。他人のアイディアを利用する場合は本人もしくはしかるべき相手の了解を得ること。また了解を得たことを作品などに明記すること。
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担当者 | 河野将悟 |
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